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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

僕がみた世界のGood Time

第四章其の三
更新日:2011.9.16
第四章 在宅ホスピスの真実 其の三


■ 7人のプロフェッショナル

フレンドシップホスピスでは、7人がチームを組んで1人の患者へのサービスを行っています。

まずここではチームを統率するディレクターとして看護婦がいます。彼女は保険会社との話し合いから始まって、担当医とのやりとり、患者にホスピスの哲学を理解してもらうことに至るまで、あらゆる総合的なコーディネーションを行います。その次が医者です。このホスピスでは医者は看護婦の次に位置するエンジニアなのです。

このフレンドシップホスピスではお年寄りに症状の多い泌尿器科担当の医師でした。その 次に経済的な問題に対応するソーシャルワーカー、投薬の指示や病状が重くなったときに対応するペイシェント・ケア・コーディネーター、薬の専門家である薬剤ディレクター、事務全般を担当する事務局の女性と続きます。 そして7番目に、「わたしはチャプリンです」といって自己紹介した、壮年の髭面の上品な紳士がいました。

ぼくはチャプリンという言葉がわからなかったので、あの映画のチャップリンを思い出しました。チャップリンがなぜホスピスのチームの一員に?その謎はすぐに解けました。 じつはチャプリンというのはチャプレイン(Chaplain)、つまり従軍牧師に語源がある造語だとわかったのです。

役目はまさに従軍牧師そのものでした。戦場では、亡くなる兵士に引導を渡してやらなければならないのですが、兵士ごとに宗教や宗派が違っているケースが多いので、カソリックからプロテスタント、仏教からイスラム教まで、多宗教を渡り歩けるようにトレーニングされた専門牧師がいるのです。ホスピスの患者はまさに戦場の兵士たちのように、宗教のバックグラウンドが違うので、こうした役目の牧師がいたのです。 「わたしはちゃんとその人の宗教や宗派に応じて看取りを行います」と髭面のチャプリンはいいました。

これら7人のプロフェッショナルで構成されたホスピスチーム。簡単にいってしまえば、 「医者と坊主が結託して患者を6ヶ月であの世に送るビジネス集団」ともいえるでしょう。 見事なまでのチームワークで、見積書を作成し、コンペをして、6ヶ月できちんと死なせてやる。そういうビジネスがすでにアメリカで隆盛を極めているのです。





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