第28章 「部下に、あの人ええ人やねーと言われとったらあかんぞー!」
上3年で下をみる。下3日で上をみる。これは、師匠「春山 満」の言葉で、会社の組織にあてはまるものだ。この言葉は、「会社という組織の中で部下が上手く生きていこうと思えば、まず社風や上司の特性を必死でつかもうとするが、上司は部下を知らなくても社内でやっていける事から部下を知るまでに時間がかかる。」という意味なのだ。
昔、いつも聞いていた言葉だが、なぜか今回聞くと私は以前と違った事を考えていた。それは「私には部下がいるのか・・・?」という事だ。現在代表取締役の私が何を言っているのかと思われるかもしれない。私の会社には世間的に見ると社員が3人いて、起業当初は2人であった。ただこの2人は部下なのであろうか・・・。結論から言うと「部下」だとは思っていない。何度か書いたが、この2人は潰れ掛けの傾きかけた会社を助けてくれた。恥ずかしい話だが、私はある時期に決心をしていた。それは会社を閉じることであった。うまくいかなかったら根性論ではなく、現実を受け止めて早く撤退しようと決めていた。もしそのような事になれば、またやり直せばいいとも思っていた。
この考えも師匠である春山 満から教わっている。私の春山 満ノートには、こう書かれている。「宮内、世の中は早く逃げる事も重要なんだぞ」と・・・。どういう場面で聞いたかは忘れてしまったがこう書かれていて、私はこれを心に刻みこんでいた。しかし、私がもう諦めかけた時、決して諦めなかった部下が創業時の2人なのだ。「大丈夫です。全く問題ありません。」と何度も私に言う。結局この事が後3ヶ月だけ私の決心を先延ばしした。最近3期目が終わり、何とか増収増益で終わることができた。まだまだ小さい数字ではあるが、貴重な3ヶ月先延ばしした決心が、今となっては3年が過ぎ、本当に危なかった大きな壁を乗り越えることができた。2人の部下は、部下というより完全に戦友である。
そして7ヶ月前に部下と呼べる人間を1人雇った。彼は大阪で営業活動を行なっている。売上もないのに東京に来る必要はないと突き放しているのだ。そんな彼は大阪で1人愚直に業務をこなし、売上を上げた。だから年末に一度東京へ呼んでいる。彼がどれだけ成長したか楽しみである。
宮内 修 プロフィール
アイシーズ株式会社 代表取締役 1973年3月に父 宮内 義彦(現オリックス株式会社 取締役兼代表執行役員・グループCEO)の次男として生まれる。 |
春山 満 プロフィール
株式会社ハンディネットワーク インターナショナル 24歳より進行性筋ジストロフィーを発症。現在首から下の運動機能を全廃。1991年ハンディネットワーク インターナショナル設立。幅広いネットワークと体験を通した独自の視点と着眼で、オリジナル商品の開発や大手医療法人・企業等のコンサルティングなど幅広く活躍。2003年、米国ビジネスウィーク誌にて『アジアの星』25人に選出。 |
ドラ息子企画 編集者 春山 哲朗
編集者 略歴 |