更新日:2012.10.17
第六章 ヨーロッパの光と影 其の十
V フランスで見た老いの覚悟
■ ホテリア・パリメール・アレシア 上
そこはいわゆる老人ホームの機能を持った施設ではあるものの、概観とサービスを見る限り、シティホテルとなんら遜色のない高級感をもった施設でした。
通りから見ると、どう見ても都市型の居心地のよさそうなホテルです。
中に入ると本当にホテルのようなフロント、その奥に明るい陽がふりそそぐ中庭があります。瀟洒なロビーにレストラン。調度にもインテリアにもセンスのよさが感じられます。
ここを運営しているのは、フランスのホテルグループ、アコール社とアメリカで高齢者施設を運営するホリデー・リタイアメント社で、12年前にこのビジネスに進出し、現在フランス国内で、30ヶ所を経営しているということでした。
入所時にかかる費用は、ホテルの形態に近く、まず1ヶ月分の保証金を支払い、その後は入所する人の介護の依存度に応じて、1日691フラン(約1万2000円)から806フラン(約1万4000円)となっています。この料金は1日だけのショートステイから無期限の長期滞在まで一律になっていて、すべて入所者の自己負担となっています。
ホテルのゲストルームを思わせる居住空間は、全館で103室を備え、すべてが個室になっています。部屋の広さは23平米くらい。そのかわり公共基準、つまりレストランやロビーが広いのに驚きました。おそらく日本の平均的な施設の2倍くらいの広さを確保しているのです。
(次回につづく)
※ 次回更新日 : 2012.11.21 (水)
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