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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

僕がみた世界のGood Time

第六章其の十四

更新日:2013.2.20
第六章 ヨーロッパの光と影 其の十四

 
W ドイツとデンマークにみる老いの逆指名

デンマークでは老いを支えるために
血の出るような税金を払っている。
所得税は50%。消費税は25%。

■ ドイツの介護保険 上

 日本でもようやく介護保険がスタートしましたが、ドイツではすでに1995年から介護保険がスタートしています。日本の介護保険は、ドイツの介護保険を十分に参考にしたはずですが、ぼくにいわせればやはりドイツの方がシンプルで優れたシステムだと思います。なぜかというと、まず要介護認定が重度・中度・軽度の3段階判定なのです。ぼくはお年寄りの介護認定はこのくらいが限界だと思います。日本はもっと木目細かくやろうとして、6段階判定を実施しています。いまの福祉医療界で6段階評価を正確にできる人は、はっきりいってあまりいないと思います。それがわかっているのに6段階評価にしてしまった。案の定、要介護の認定については、さまざまなトラブルが報告されています。

 そしてもうひとつ、両国のシステムで決定的に違うのは、介護者の家族が、サービスの有無を選択できるという点です。どういうことかというと、たとえば日本円で30万円の要介護認定を受けたお年寄りがいるとします。日本の場合はそのまま30万円分のサービスを受けるしか選択肢がありませんが、ドイツの場合はたとえば家族で面倒を見ようという選択ができるのです。外部の介護サービスを受けずに家族で面倒を見るとなると、それは家族の労働で介護サービスが行われることになるので、家族は30万円のうち半分程の15万円を毎月現金で受け取ることができるのです。

 家族で介護すると、その報酬(半分だけれども)が国から出る。ぼくは、これは非常に優れた介護保険のシステムだと思います。たしかに外部のサービスを受けるほうがラクですが、もし自分の親を介護できる立場にあれば、介護をする選択もできる。これはまさに介護の逆指名であり、社会資源の削減にもつながるのです。家族も喜び、国のコストも半分になる。素晴らしいシステムだと思います。


(次回につづく)

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