更新日:2013.7.17
第六章 ヨーロッパの光と影 其の十九
X 匂いのあるナーシングホーム
庭には形だけの「バス停」が作られてあり、
どこかへ出かけたい人は、
日がな一日そこに坐ってバスを待っている。
■ 中負担・中福祉のオーストラリア
オーストラリアの福祉制度は、「中負担・中福祉」といわれています。中くらいの税負担で中くらいの福祉をサービスする。ヨーロッパのような高負担・高福祉ではないし、アメリカのような全てが自己負担という割り切りもない。そのため多くの国々がオーストラリアの制度を真似しようとしています。日本でも参考になるのだろうか。そのヒントをつかみたくて、ぼくはオーストラリアを訪れました。
オーストラリアの医療福祉を見るときに、まず知っておく必要があるのが政府の財源です。基本的な税金は、所得税が収入の23%から47%の累進課税、消費税は10%、健康保険はメディケアと呼ばれるもので、収入の1.5%から1.6%を国民全員から徴収します。
プライベート保険もおよそ100種類あり、高額所得者には加入が義務づけられています。また年金制度は会社と個人がそれぞれ5%ずつ負担し、給付は男性が65歳から、女性が60歳から受けられます。この基本条件を頭に入れてもらったうえで、オーストラリアの事情を紹介しようと思います。
(次回につづく)
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