本日も私、宮内 修がゲストである。さて、今回のテーマは「伝えるということ」。私も春山 満の一番弟子ということで、講演をする機会が多々ある。「人前でよく緊張しないで話せるね?」 「大変じゃない?」などよく聞かれるが結局、いかに準備をしているかに集約されると思う。
「伝えるということ」が大切であり間違っても、スピーチの上手い、下手ではない。準備段階で、何を伝えたいのか?相手をどんな気持ちにさせたいのか?これを踏まえた上で、話す内容を決める。その後に鏡の前で何度も何度も、それこそ千本ノックぐらいのリハーサルをする。このようにきちんと準備をしていれば、緊張しても、トラブルがあっても、間違っても、相手には伝わる。小手先で話すよりも目的意識をしっかり持って話せば、何倍も記憶に残る。春山 満は確かに話すことが上手かった。ただ、とても細かな準備をしていたのをよく覚えている。だから緊張するとか、大変だという人に限って準備をしていないパターンが多い。伝えるには準備しかない。忘れないでほしい!
「伝える」ことの重要性は父である春山 満が誰よりも実感し、その重要性を僕たちに伝えてきた。父はご存知の通り20代で五体不満足となり、考えることと話すことを最大の武器に生き抜いてきた。
父にこんな言葉で叱られたことがある。「言った口が悪いんか、聞いた耳が悪いんか、どっちや?言った口が悪いんじゃ!!」これはある取引先の方とのやりとりで、僕は伝えたつもりでいたが相手は理解しきれていなくてミスが起こった時のことだ。当時、僕はまだ未熟だったこともあり「言ったのに何で伝わってないねん!」と心の中で逆切れをしていたが、正にここに根本的な問題があると気付いた。それは、「言う」と「伝える」この二つのことが似て非なるものだということだ。「言う」というのは、僕から相手への片道方向の矢印、つまり一方通行。しかし「伝える」ということは、相手が理解しているかどうかを発信した僕が確認しなければ、伝えたつもりであっても言っただけで終わってしまい、伝えたことにならない。そのことがあって僕は“伝わっているのかな・・・”という感覚になった時にはしつこく再確認するようにしている。専門用語や難しい言葉を使っても相手が理解しなければ全く意味がない。1つの業界に浸かれば浸かるほど、その業界用語や横文字を羅列し格好をつけたくなるが伝わらなければそんな説明にはなんの価値もない。
伝えるためには、発信する側は伝えたい内容だけではなく、伝える相手のことも理解しなければいけない。伝わらないメッセージほどくだらないものはないと僕は父から学んだ。
株式会社あすき 代表取締役 会長 1973年3月8日 東京都生まれ。 |
株式会社ハンディネットワーク インターナショナル 春山 満の長男として1985年に生まれる。
高校を卒業後、ハワイの大学へ留学。その後アメリカ ネバダ州のUniversity of Nevada, Las Vegasへ編入。
2007年10月、春山 満からビジネスを学ぶため、株式会社ハンディネットワーク インターナショナルへ入社。
2012年7月、同社 取締役に就任。
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24歳より進行性筋ジストロフィーを発症。首から下の運動機能を全廃。1991年ハンディネットワーク インターナショナル設立。幅広いネットワークと体験を通した独自の視点と着眼で、オリジナル商品の開発や大手医療法人・企業等のコンサルティングなど幅広く活躍。2003年、米国ビジネスウィーク誌にて『アジアの星』25人に選出。 |