今回のテーマは「耐える」。例えば、会社なら資金が潤沢にあれば、ある程度の事故や困難に対して「耐える」ことができる。弊社のように微力な会社では到底耐えられない・・・。恋愛も、付き合っている女性と毎日喧嘩をしているのに、関係を維持するためだけに「耐える」なんて気分が悪いだろう。私は春山から、出来なくて耐えられなくなったとき「逃げるときは徹底的に逃げろ!」と言われたことがある。これって今思うと、ものすごく利に叶っていると思う。人生とは間違いなく平等ではないし、人間関係が良好とは限らない。私も沢山騙されてきた。
金銭トラブル 人間関係崩壊 裏切り
まあ、だいたいのことは経験してきたが「この人と仕事やるんじゃなかった」と直感的にでも思ったら、逃げる。理屈ではなく、直感だが、離れる。恋愛も同じ。無駄に情がある故になかなか別れられず、やがて泥沼になっていく・・・。よくある話だ。こういうときはすぐ逃げる。人生にはそんな時間はない。無理して「耐える」ともっと損害が大きくなることの方が世の中には多い。それを忘れてはいけない。
今回のゲストは、オリックス・リビング株式会社の代表取締役社長 森川 悦明さんだ。森川社長は父と関西、首都圏に20か所以上のゲストハウス(有料老人ホーム)をつくってこられた。今では介護業界のスタンダードとして注目を集めるまでになったが、ここに辿り着くまで10年もの年月がかかっている。その中で父が森川社長へ「冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に耐え」という言葉をアドバイスしたそうだ。
父は晩年「閑に耐える」ことがとにかく難しいと僕にこぼしていた。というのも父が亡くなるまでの2年間、新体制をつくっていくため現場指揮は僕が執っていた。父は頭(トップ)が2つあると組織は上手くいかないと考えていたので、できるだけ社員へは直接言わず僕のアドバイザーに徹し、会社に顔を出すことも極力控えていた。
実はこの事業承継の仕方には映画「ゴッドファーザー」が大きく影響していたと思う。父は生前、僕にこの映画を見るように言っていたが生きている間に見る事は出来なかった。そして父が亡くなってから遺言だと思い「ゴッドファーザー」見たが、正に我社の事業承継と似ていた。父は一線を退きこの映画を何度も見ながらまた前線へ出たい気持ちを抑えていたのだと今になって思う。閑に耐えられずいつまでも口を出していたら次が育たない。「閑に耐える」ということは、事業承継にとって一番難しいステップなのかもしれない。そんな状況におかれている方には是非「ゴッドファーザー」を見てほしい。
株式会社あすき 代表取締役 会長 1973年3月8日 東京都生まれ。 |
株式会社ハンディネットワーク インターナショナル 春山 満の長男として1985年に生まれる。
高校を卒業後、ハワイの大学へ留学。その後アメリカ ネバダ州のUniversity of Nevada, Las Vegasへ編入。
2007年10月、春山 満からビジネスを学ぶため、株式会社ハンディネットワーク インターナショナルへ入社。
2012年7月、同社 取締役に就任。
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24歳より進行性筋ジストロフィーを発症。首から下の運動機能を全廃。1991年ハンディネットワーク インターナショナル設立。幅広いネットワークと体験を通した独自の視点と着眼で、オリジナル商品の開発や大手医療法人・企業等のコンサルティングなど幅広く活躍。2003年、米国ビジネスウィーク誌にて『アジアの星』25人に選出。 |