今回のゲストは、おおさか往診クリニック理事長の田村学さん。本日は死の質というテーマである。本当に難しい問題である。しかし、人生で誰もに100%訪れるのが死であることは事実である。もしかすると明日、いや、1時間後私たちは死ぬかもしれない。仕事やプライベートでリスクリスクと言っていても一番のリスクは、「死」である。私たちはこの瞬間も最大のリスクを背負いながら生きている。
そう考えると、人生が案外楽に感じられないだろうか。それには、普段どれだけ「死」について考えているかがポイントになる。いつも最大のリスクである「死」について考えていれば、他の悩みなんて楽勝である。そうは言っても・・・と言われそうだが、反論する人は本気で「死」を考えていないのだと思う。「死」を本当の意味で考えたならば、今何をしなければいけないのかが見えてこないだろうか?誰と過ごさなければいけないかがわかってこないだろうか?何か伝え忘れていることがないか気づかないだろうか?
でもね。私もこのラジオを聞いて、このコラムを書いて、改めて気付いた。
「死より怖いものはない」
それならば、いまこの瞬間、あなたはどう生きますか?
今回はゲストに大阪往診クリニックの田村学先生を招き「死の質」というテーマでお話をしていただいた。僕は祖父と父を在宅で看取り、その経験から言うと、いかに最期を迎えるかということは重要である。これは在宅で亡くなることがいいと言っているのでない。最期はこう迎えたいという本人の願いを、尊重し、叶えることができ、家族である僕自身も安堵と共に満ち足りた思いを覚えた。
父は倒れる直前まで仕事をしていた。これは父が望んでいた姿であったと思う。人によってはリタイア後の人生を、今まで行けなかった旅行へ行ったり、田舎へ移住したり、住み慣れた町でのんびり暮らしたりと好きな過ごし方をされるだろう。父にとって、仕事は人生そのものであった。もちろん家族を養い、自分の人生を豊かにするために稼いでいたが、それと同じぐらい大事なことがあった。それは、「日本の医療と介護を変える」ということだ。晩年は若者へメッセージを発信し、これからを生き抜く若者へ元気と勇気を与えていた。父は迫りくる「死」を感じながらも悲壮感漂わせることなくキラキラと心を輝かせていた。多くの方から若くして亡くなったと思われているが、僕は心を輝かせ続け、よく60歳まで生きたと感心する。
人間、皆平等に老いる。これは紛れもない事実だ。10代20代と比べると身体の衰えは誰もが感じる。ただ、心を輝かせ高齢期でしか味わえないご褒美の時間という考え方をもつこともできる。僕が高齢期において最も重要だと思っていることは、この心を輝かせ、限られた時間を“誰と過ごすか、どこで過ごすか、いかに過ごすか”ということ。こうして人生を全うできれば自然と「死の質」はよくなると僕は思う。
株式会社あすき 代表取締役 会長 1973年3月8日 東京都生まれ。 |
株式会社ハンディネットワーク インターナショナル 春山 満の長男として1985年に生まれる。
高校を卒業後、ハワイの大学へ留学。その後アメリカ ネバダ州のUniversity of Nevada, Las Vegasへ編入。
2007年10月、春山 満からビジネスを学ぶため、株式会社ハンディネットワーク インターナショナルへ入社。
2012年7月、同社 取締役に就任。
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24歳より進行性筋ジストロフィーを発症。首から下の運動機能を全廃。1991年ハンディネットワーク インターナショナル設立。幅広いネットワークと体験を通した独自の視点と着眼で、オリジナル商品の開発や大手医療法人・企業等のコンサルティングなど幅広く活躍。2003年、米国ビジネスウィーク誌にて『アジアの星』25人に選出。 |